SNMPトラップとは?
SNMPトラップ(SNMP Trap)とは、ネットワーク監視のためのプロトコルであるSNMPを用いて、監視対象となる機器(SNMPエージェント)が監視ソフトウェア(SNMPマネージャ)に通知を送信する仕組みです。
SNMPエージェント | サーバーやルーター、スイッチなどの機器に内蔵されていて、SNMPを用いてマネージャーに状態の通知などをする機能 |
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SNMPマネージャ | SNMPを用いて上記のような機器を一元監視するソフトウェア |
※SNMPv3ではSNMPエージェントおよびSNMPマネージャをSNMPエンティティと総称していますが、本ページでは区別して解説します。
監視ツール OpManager はこちら
SNMPを利用した通常の監視は、SNMPマネージャが監視対象のSNMPエージェント側に問い合わせして返答を得る仕組みですが、SNMPトラップは機器内の異常や変化を契機に、SNMPエージェントが自らトラップを送信します。
SNMPトラップが有効化されている場合、SNMPエージェントは機器の各ステータスを監視します。監視している項目に対して何らかの変化が発生した場合に、SNMPエージェントはSNMPマネージャに対してトラップを送信します。
SNMPエージェントは、デフォルトの場合、SNMPマネージャのポート162番にUDPでSNMPトラップを送信します。UDPは、通信の前の確認や到達確認を行わないコネクションレス型の通信であるため、SNMPエージェントからは、SNMPマネージャがSNMPトラップを正しく受信したかを確認できません。
SNMPトラップの種類
RFC1215で定義されたSNMPトラップには、以下の7種類があります。0番から5番までのトラップはすべての機器で共通した内容のSNMPトラップです。6番が指定されたトラップは、各機器ベンダーごとに内容が異なります。
種類 | 番号 | 特徴 |
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coldStart | 0 | SNMPエージェントが再起動し、管理値が初期化されたことを意味する標準トラップです。 |
warmStart | 1 | SNMPエージェントが再起動したことを意味する標準トラップです。管理値は変更されません。 |
linkDown | 2 | 機器のインターフェースがアップからダウンになったことを意味する標準トラップです。 |
linkUp | 3 | 機器のインターフェースがダウンからアップになったことを意味する標準トラップです。 |
authenticationFailure | 4 | 設定されているSNMPコミュニティ名と異なるコミュニティが使用されたことを意味する標準トラップです。 |
egpNeighborLoss | 5 | 近接ルーターがダウンしたことを意味する標準トラップです。 |
enterpriseSpecific | 6 | ベンダー固有のトラップであることを意味します。各ベンダーが、標準トラップで定義されている以外の機器の状態をSNMPトラップで通知する場合、この値が指定されます。 |
ネットワーク管理者は、SNMPトラップを参照して、機器の変更やパフォーマンス低下、障害情報を把握できます。
SNMPトラップを監視する利点
SNMPを用いた監視の多くは、一定の間隔ごとに情報を取得する「ポーリング」をおこなって情報を取得します。ポーリングで情報を取得する場合、ポーリングした瞬間の情報を一定間隔で取得するという性質上、ポーリングとポーリングの間に発生した出来事については検知することができません。
SNMPトラップを設定すると、ポーリング間で発生した障害情報についても把握可能になり、より隙のないネットワーク管理を実現できます。
SNMPトラップ監視のむずかしさ
しかし、ネットワーク機器やサーバーの状態により、SNMPトラップが必要以上に大量に送信されることがあります。様々な機器からSNMPトラップが大量にマネージャに送信された場合、優先して対応すべき緊急性の高いエラーなど、本当に必要な情報が重要度の低いたくさんのトラップに埋もれてしまい、見逃してしまう事態を引き起こしかねません。
SNMPトラップを用いてネットワーク監視を行う場合は、マネージャに送信されるべきSNMPトラップを把握し、SNMPトラップを受け取った場合にどのような対処をとるかを定義する必要があります。しかし、管理対象のネットワーク機器やサーバーがたくさんある場合、大量のトラップから必要な情報だけをピックアップして状況を正確に把握し、適切な対処を行うことは難しいと言えます。
SNMPトラップ監視を数10分ではじめられるツール
そこで検討したいのが、SNMPトラップをわかりやすく管理できるツールの導入です。ManageEngineが提供するOpManagerは、SNMPマネージャーとして利用できる監視ツールのひとつです。SNMPトラップ監視を簡単にはじめられる機能を搭載しています。OpManagerのSNMPトラッププロセッサーでは、 VarBind(バリアブルバインディング)レベルで、任意のSNMPトラップのみ、ネットワーク管理者に通知するよう設定できます。アラートの情報から、不要なSNMPトラップを除去することも可能です。
OpManagerでは、インストール後10分程度でSNMPトラップの監視を開始できます。トラップ処理では、1秒につき最大約300件のSNMPトラップを扱い、通知や転送の設定ができます。
コマンドいらずの簡単なSNMPトラップ管理
OpManagerではユーザーインターフェース上から設定可能な「SNMPトラッププロセッサー」でSNMPトラップの通知条件やアラート発報条件を定義し、それに従ってSNMPトラップを監視します。設定にコマンド実行やプログラムは必要ありません。
SNMPトラッププロセッサーは、SNMP MIB ファイルから、直接SNMPトラップをインポートする方法のほか、OpManagerサーバーが受信したトラップを元に簡単に作成できます。
SNMPトラップビューワーツールでリアルタイムにトラップ検知
OpManagerには、受信したすべてのトラップをリアルタイムで表示する「SNMPトラップビューワー」が付属します。MIBの読み込みやGET、GET-NEXT、GET-BULK、SETなどより細かいトラップ監視のアクションを実行できます。
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他のネットワーク管理ツールへトラップを転送
OpManagerで取得したトラップを他のネットワーク管理システムに転送できます。サーバー名またはIPアドレス、転送を行うポートを指定するだけで、すぐにトラップを転送します。また、OpManagerで取得したアラート情報についても同様に、トラップとして他システムに送信可能です。
SNMPトラップの実態を見抜くレポート
OpManagerでは、受信したすべてのSNMPトラップを一覧表示する「SNMPトラップレポート」を提供しています。このSNMPトラップレポートはカスタマイズ性に優れ、定期的、あるいは特定の日のレポートを配信するようスケジュール設定できます。
SNMPトラップ監視の設定動画
SNMPトラップ監視の設定とその監視アラートを紹介します。
関連項目
- ユーザーガイド
SNMPトラップ監視機能のユーザーガイドをご紹介します。 - エージェントレス監視を簡単に実現するSNMPマネージャ
エージェントレス監視についての機能をご紹介します。 - ナレッジベース
OpManagerのSNMPトラップに関するナレッジベースをご紹介します。