ネットワーク構成を可視化する目的と2つの方法
ネットワーク構成の可視化とは、ネットワーク機器やそれらの接続関係、配置、状態などをひと目で分かるように見える化することを意味します。「トポロジーマップ」や「ネットワーク図」という言葉を聞いたことある方も多いと思いますが、これらは、よくネットワーク構成の可視化に用いられ、ツールを使い自動作成する場合や、表計算シートなどで手動作成する場合もあります。
「トポロジーマップ」や「ネットワーク図」という方法は、ネットワーク構成を可視化する目的に応じて使い分けられます。ここからは、それぞれの方法の概要や目的、利点について紹介していきます。
トポロジーマップ
「トポロジ」とは、日本語で「図形と図形の空間的な位置関係を管理するモデルまたは機能」と解釈されています。そしてITにおけるトポロジーマップは、中心となるネットワーク機器やサーバーからどのように他のノードが接続しているかを示すマップになります。以下の画像が、トポロジーマップの一例です。
目的は「障害範囲の特定」
トポロジーが利用される1番の目的は、「障害範囲の把握」です。例えば、社内にある100台のルーター・スイッチ・サーバーのうち1台が故障が原因で停止したとします。この様な場合、機器の停止によりどの範囲のネットワークが影響を受けるか調査し、必要な対策を講じることがネットワーク管理者に求められます。そして、この影響範囲の特定において、トポロジーマップを活用することは調査の迅速化につながります。
利点
上記の目的に関連しますが、トポロジーマップは障害時の影響範囲の特定に利用されます。トポロジーマップを普段から運用していない場合、障害発生時はユーザーからの報告や、手作業による調査で影響範囲を特定していくことになります。 迅速な対応がより求められる障害時において、一目でノード同士の相関関係を確認でき、障害の影響範囲も特定できるのが、トポロジーマップの利点です。
作成するツールによっては、トポロジーマップにノードの状態(パフォーマンス情報)も表示することができます。
ネットワーク図
「ネットワーク図」は、ネットワーク上に点在するサーバー・ネットワーク機器などのインフラ装置について、「どこに何があるか」「どの様な状態なのか」を示した図になります。ですので、多くの場合、背景画像に地図やオフィスのレイアウト図を利用し、その画像の上にインフラの情報を表示させていきます。以下がネットワーク図の一例です。
目的
ネットワーク図が利用される1番の目的は、「障害の原因特定」です。ネットワーク上に原因不明の障害が発生した際に、真価を発揮します。例えば、以下のような事象において活用されるケースが多いです。
- ネットワーク通信がなんか遅い
- サーバーの処理がたまに遅くなる
- 特定の日時において通信が遅くなる
このような不確実性や抽象度が高い課題は、原因を特定するのに時間がかかったり、調査中に事象が解消してしまうことがあります。なので、ネットワーク図を活用し、ネットワーク全体を俯瞰(ふかん)しながら問題がありそうな箇所を掘り下げて調査していく必要があります。 このような活用がされるため、ネットワーク図では各インフラ装置の状態が視覚的に見やすくなっている必要があります。
利点
上記の目的に関連しますが、ネットワーク図の利点は、障害の原因特定を迅速化できる点です。 ネットワーク図が無い場合、管理者の経験から問題になっていそうな箇所をしらみつぶしに調査していく必要があります。このような運用では、根本原因を発見するまでに時間を要したり、経験豊富な担当者でなければ、原因特定自体が難しくなります。
例えばManageEngineのネットワーク監視ツールOpManagerのビジネスビューというネットワーク図では、ネットワーク図上にインフラ装置の状態を色で表示でき、そこからクリックによるドリルダウンで状態が芳しくないインフラ装置のパフォーマンス情報まで一気に掘り下げることができます。 そして、この様なネットワーク図をクリックのみで作成できます。
このようにネットワーク図の活用は、専門的な知識が無くても、障害原因の調査を迅速化を実現します。
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