PAM360を使った高可用性の監視

    注記: 現時点では、PAM360は、PostgreSQLデータベースについてのみ、HA監視をサポートしています。最終的に、サポートはMS SQLデータベースにも拡張されます。

ミッションクリティカルな環境で重要な要件の1つは、パスワードへのアクセスが妨害されないことです。PAM360には、この実現のため、高可用性機能があります。一般的に、高可用性(HA)手法では、プライマリサーバーと、プライマリサーバーが故障した場合に運用を引き継ぐセカンダリ/スタンバイサーバーを用意します。PAM360は、お使いのサーバーの高可用性の監視をサポートし、故障を予測するため、コスト高のダウンタイムを回避します。

本書では、次のトピックについて説明します:

  1. 高可用性の監視はなぜ必要か?
  2. PAM360で高可用性はどのように作動しますか?
  3. PAM360での高可用性アーキテクチャ
  4. 監視トレイルに何が発生するか?
  5. プライマリとセカンダリサーバーの同期化
  6. PostgreSQLデータサーバーの高可用性の監視

1.高可用性の監視はなぜ必要か?

エンドポイントと関連づけられたデータベース運用を継続的に監視することで、問題を早期に検出し、同問題に対する対処方法を探し、これにより、ユーザーのシステム体験を改善します。また、キャプチャシステムメトリクスの監視は、サーバーパフォーマンスと反復される問題のトレンド分析に使用します。データベースサーバーの場合、可用性を測定し、データベースサーバーをダウンさせる可能性があるイベントを検出し、重大な不具合について関係者に即時通知するため、信頼できる監視システムは必須です。優れた監視プロセスは、アクセシビリティが高く安定し、診断データをキャプチャし、発生した問題について管理者に警告を与えます。

2.PAM360で高可用性はどのように作動しますか?

プライマリサーバーが故障またはダウンするときは必ず、プライマリが実行していた機能をセカンダリサーバーが引き続ぎます。PAM360のHAセットアップには、セカンダリサーバーがあり、災害時、完全機能のプライマリサーhバーの作動が戻るまで、PAM360リポジトリからパスワードを取り込むのに使用できます。この点については以下で詳説します:

  • 冗長的なPAM360 Serverとデータベースインスタンスがあります。
  • 1つのインスタンスがユーザーに読取/書込みアクセス権限を付与するプライマリになります。すべてのユーザーはプライマリでのみ接続されます。
  • 他のインスタンスは、セカンダリやスタンバイとして機能します。
  • プライマリとセカンダリインスタンスの両方は常に、相互に同期化されてます。データ複製は、暗号化された安全なチャンネルで行われます。
  • プライマリサーバーがダウンした場合、プライマリサーバーの完全機能が復旧するまで、セカンダリでユーザーが緊急アクセスできるようにします。その間データベースに行われた変更(がある場合)は、接続復旧時に自動的に同期化されます。

3.PAM360での高可用性アーキテクチャ

PAM360のHAアーキテクチャは、異なる2つのシナリオに適合する設計になっています。詳細な説明は、下表を参照してください:

シナリオ 1

プライマリとセカンダリサーバーを同じネットワークでホスティング

セカンダリサーバーは、プライマリサーバーが運用されているのと同じネットワークに設置されています。セカンダリサーバーには、プライマリサーバーの故障時に、読取/書込みアクセス権(リセット操作時は除く)が付いています。

同じネットワーク内のプライマリとセカンダリおよびプライマリのダウン:

プライマリとセカンダリサーバーが同じ地理的な場所、例えば、'A'に表示されるとします。プライマリが故障またはダウンした場合、プライマリとセカンダリサーバー両方のユーザーは、セカンダリからパスワードに緊急アクセスすることになります。

シナリオ2

プライマリとセカンダリサーバーを異なるネットワークでホスティング

プライマリとセカンダリサーバーが異なるネットワーク上に設置されています。リモートネットワークにあるセカンダリサーバーには、WAN リンクの故障またはプライマリサーバーの故障時、読取/書込みアクセス権(パスワードリセット操作時は除く)が付与されます。

異なる場所にあるプライマリとセカンダリと、WANリンクの故障がそれらの場所の間で発生した場合:

プライマリサーバーが地理的な場所'A'にあり、セカンダリサーバーが別の場所'B'に表示されるとします。デフォルトでは、'A'と'B'の両方のユーザーがプライマリに接続され、ルーチンパスワード管理のアクティビティを実行することになります。プライマリとセカンダリ両方のデータは、相互同期化されます。次に、2つの場所でネットワーク接続損失が発生したことを考えてみてください。そのような状況では、2つのサーバーが独立して作動しはじます。すなわち、場所'A'のユーザーは、プライマリサーバーに接続されたままで、通常どおり運用を実行します。他方、場所'B'のユーザーは、セカンダリサーバーからパスワードへの緊急アクセス権を付与されます。'A'と'B'との間で接続が再確立されると、両方の場所にあるデータが同期化されます。


4.監視証跡はどうなりますか?

上記の高可用性シナリオでは、監査証跡は通常どおり記録されます。シナリオ2では、2つの場所の間にネットワーク接続があるかぎり、プライマリにより監査証跡が印刷されます。ユーザーがセカンダリに接続すると、'パスワード取り込み'、'ログイン'および 'ログアウト'等の操作を印刷します。2つの場所でネットワーク接続が回復すると、監査データが同期化されます。シナリオ1では、プライマリがクラッシュすると、'ユーザーがセカンダリで実行した'パスワード取り込み'、'ログイン'および'ログアウト'が監査されます。他の監査レコードは、スタンバイですでに同期化されます

5.プライマリとセカンダリサーバーの同期化

セカンダリサーバーが故障したプライマリサーバーを引き継ぐには、正確に同じデータを保持し、プライマリサーバーが正常に作動している場合に実行したのと同じ方法でデータベース処理を行う必要がありま。このため、同期化とは、セカンダリサーバーデータベースがプライマリデータベースサーバーの正確な複製となるように、同データベースを継続的に更新することを指します。

PAM360のHA機能は、データを両方のサーバーで、常時同期させるように配慮した設計になっています。セカンダリサーバーが故障またはリンクが故障した場合、1つのデータベースで行った変更は、サービス/接続復旧時に他方と自動的に同期化されます。また、そのような故障の間、セカンダリサーバーで行われる運用は、通常どおり監査され、復旧時に自動的に同期化されます。データ複製は、安全で暗号化されたチャンネルで行われます。

6.PostgreSQLデータサーバーの高可用性の監視

PAM360には、各種通知オプションとあわせて、HA管理と監視機能が組み込まれています。下の手順にしたがって、HAのPostgreSQLデータベースサーバーを PAM360を使って監視および管理します:

6.1 PostgreSQLデータベースサーバーで高可用性を監視する手順

  1. HAの監視を開始する前に、初めにHAをPostgreSQLで可動するサーバーでセットアップします。
  2. HAのセットアップが完了したら、PostgreSQL HAセットアップをPAM360コンソールの監視を開始できます:
    プライマリまたはセカンダリサーバーの[管理者] >> [構成] >> [高可用性]の順に移動します。HAコンソールがj表示されます。

6.2 PostgreSQLデータベースサーバーの高可用性コンソール

PAM360のHAコンソールは、プライマリとセカンダリサーバーおよび関連づけられたデータベースの可用性を監視するオールインワン、ダッシュボードスタイルのウインドウです。このコンソールでは、プライマリサーバーからセカンダリサーバーに、およびその逆に表示を切り替えることができます。

HAコンソールを使って、以下を実行します:

  • HAおよびその構成のステータスを含むHAサマリーを表示します。
  • サーバーと関連づけられたデータベースのステータスを表示します。
  • 複製保留カウントを表示します。
  • 接続損失および接続再開時間を表示します。
  • サーバー詳細を修正します。

コンソールのビューは、HAを構成済の有無を基本としています:

  1. HAを構成済の場合: 下のイメージのようにメッセージが表示され、空のコンソールが表示されます。その監視には、初めに高可用性のセットアップが必要です。

HAをPostgreSQLで構成済の場合のコンソールのビュー

  1. HAセットアップが適切に構成済の場合: 下のイメージのように、プライマリとセカンダリサーバーの可用性と他の詳細とあわせて、コンソールが表示されます:
    HAがPostgreSQLで構成済の場合のコンソールのビュー

6.3 UI要素と定義

PAM360 HA監視コンソールには、下の説明のとおり、それぞれが各詳細に対応する各種要素が含まれます:

Sl.No: UI要素/アイコン スターテス 定義

1

アクティブ


この点滅するアイコンは、HA が、あなたが今現在表示しているサーバー(プライマリ/セカンダリ)でアクティブに稼働していることを示しています。

2

非アクティブ



この点滅するアイコンは、HA が、あなたが今現在表示しているサーバー(プライマリ/セカンダリ)でダウンしていることを示しています。

3

成功



このアイコンは、HAがお使いのサーバーで正常に校正されていることを示しています。HAの構成が失敗した場合、この画面が表示されます。

4

-



このアイコンは、プライマリサーバーを示しています。

5

-


このアイコンは、セカンダリサーバーを示しています。

6

構成の詳細

-


このテーブルには、プライマリとセカンダリサーバーの以下の詳細、サーバー名、サーバーポートおよび操作を一覧表示されています。セカンダリサーバー詳細は、ここから修正できます。(プライマリサーバーの詳細は編集できませんので、注意してください)

7

プライマリ/セカンダリサーバー


このアイコンは、プライマリ/セカンダリサーバーが起動し稼働していることを示しています。


このアイコンは、プライマリ/セカンダリサーバーがダウンし稼働を停止していることを示しています。

8

プライマリ/セカンダリサーバーPostgreSQL


このアイコンは、プライマリ/セカンダリサーバーのPostgreSQLデータベースが起動し稼働していることを示しています。


このアイコンは、プライマリ/セカンダリサーバーのPostgreSQLデータベースがダウンし稼働を停止していることを示しています。

9

複製保留カウント

-


これは、保留中の複製の総数を示しています。この値がゼロの場合、保留中の複製がなく、プライマリとセカンダリサーバーが相互に継続同期化されていることを指します。

10

接続損失時間

-


これは、プライマリとセカンダリサーバーの間の接続が失われた時間を示しています。

11

接続再開時間

-


これは、プライマリとセカンダリサーバーの間の接続が再開した時間を示しています。


6.4 高可用性でのサーバー/データベースステータスの影響 (アクティブ/非アクティブ)

HAを支える基本的な考え方は、プライマリとセカンダリサーバーの間のデータの常時複製です。ここで、プライマリは、「マスター」、およびセカンダリは「スレイブ」の役割を持ちます。「ステータス」は、プライマリとセカンダリサーバー/データベースの間の接続/通信の状態に対応しています。HAステータスには2種類あります:

  1. アクティブ - プライマリとセカンダリサーバーの間でデータ複製とデータ同期化が完全に行われていることを示しています。
  2. 非アクティブ - プライマリとセカンダリサーバーの間の接続に破損があることを示しています。破損は、サーバー間(すなわち、データベース間)のネットワーク問題等で破損があることが原因の可能性があります。このため、プライマリとセカンダリサーバーのデーターベースの間で通信がなく、サーバー間のデータ複製とデータ同期化が妨害されています。

接続が再確立されたら、データベース間で同期化が開始されます。いずれの場合も、ネットワーク接続がない間、プライマリとセカンダリに接続すると、サービスの破損はなくなります。

6.5 ステータス不良のアラートメカニズム

上の2つの条件(アクティブ/非アクティブ)は、HAセットアップの重要性を想定しているため、ステータスがアクティブから非アクティブおよびその逆になった時、リアルタイムアラートを受信することが重要です。アラートを構成するには、[監査] >> [リソース監査] >> [ユーザー監査を構成] >> [一般操作]の順に移動し、イベント[高可用性稼働中]および[高可用性失敗] 高可用性稼働中および高可用性失敗のアラートモード (メール/SNMPトラップ/Syslogメッセージ) を選択します。

    注記:

    1.HA構成後:プライマリPAM360 Serverのポートを変更する場合、高可用性セットアップは作動しません。適切な変更でセットアップを再構成する必要があります。

    2.TFAを構成済の場合:TFAを有効にするか、TFAタイプ(PhoneFactorまたはRSA SecurIDあるいはワンタイプパスワード) を変更する場合は必ず、およびHAを構成した場合、PAM360セカンダリサーバーを一度再起動する必要があります。

6.6 HAコンソールからのサーバー詳細の修正

詳細の編集対象であるンダリサーバー横の [操作]下にあるをクリックします。ポップアップされるウインドウで、必要に応じて詳細を修正し、[更新]をクリックします。

6.7 高可用性が不良の場合はどうしますか?

HAステータスが「非アクティブ」になったら、PAM360 HAセットアップも失敗します。HA失敗の場合は、下のログファイルとあわせて、pam360-support@manageengine.comにお問い合わせください:

<PAM360インストールフォルダ>/pgsql/data/pg_log/pgsql_Mon.log