問題管理とは何か?インシデント管理との違いと考え方、ツール利用のメリットについて
ITSMにおける問題管理とは、インシデントの根本原因を究明し、解決策を特定する、ITサービスマネジメントのプロセスのことをいいます。問題とは不都合を引き起こす可能性のある未知の根本原因のことを指します。
インシデントの原因を究明できる!
ITSMツールで問題管理を実践する5つの手順
問題管理を始めたい方必見。ITサービスマネジメントツール「ServiceDesk Plus」を利用して、効果的な問題管理を実現する方法を紹介します。
資料をダウンロードする(無料)問題管理とインシデント管理の違いを知るためにも、以下の事例から「問題管理」とは何かをひも解いていきます。
ITSMにおける「問題」の定義とは?
【事例】プリンターが反応せず、印刷ができなくなったサービスデスク部門の担当者が、営業部門の社員から「プリンターが動かないため、会議で使用する資料を印刷できない」という問い合わせを受けました。サービスデスク部門担当者は、同じフロアで使っている別のプリンターで印刷するという解決策を提案し、会議の進行にひとまず影響が出ないよう対応しました。その後、業者に連絡し、調査してもらった結果、プリンターの故障が原因であることがわかり、修理してもらいました。
この場合、ITSMでは、「印刷ができない」という事象を”インシデント”と呼びます。そして、「印刷ができない」というインシデントの、根本的な原因である「プリンターの故障」が”問題”に該当します。
現場で求められる問題管理のプロセス
この事例では、ひとまずビジネスへの影響を最小限にとどめるために、「別のプリンターで印刷する」という対応をしています。これはインシデントへの対応、つまりインシデント管理なので、問題管理には含まれませんが、ビジネス上では緊急措置として求められる対応となります。
一方、問題管理プロセスでは、二度と同じ事象が発生しない状態をつくる必要があります。そのため、印刷できない原因を突き止め、解決策を立案し、解決するまでの作業が求められます。
この事例では、「業者に調査をしてもらい、プリンターを修理してもらう」という対応が問題管理プロセスと言えます。
現場ではこのようにして、インシデントの発生から始まる問題管理のプロセス上で、インシデントと問題に対する対応がそれぞれ求められることになります。
問題管理プロセスを導入するメリット
問題管理プロセスを導入することで、インシデントのための緊急時の対応と、インシデントの原因を突き止めて改善する業務フローを敷くことができるようになり、下記のような課題の発生を改善又は防止することができるようになります。
- 根本原因が解消されないので、同様のインシデントが何度も発生する
- ビジネスに支障が出た際の判断や復旧に時間がかかる
- 根本的な問題解決のためのナレッジが蓄積されない
インシデントの再現性となる根本原因を探し、解決するまでの一連のプロセスがITSMで示されている問題管理となります。
インシデントの原因を究明できる!
ITSMツールで問題管理を実践する5つの手順
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資料をダウンロードする(無料)最適なITSMに沿った問題管理プロセスの整理術
最適なITSMの問題管理プロセスを取り入れる際には、発生した事象を段階に分けることで、理想的なワークフローに近づけることができます。インシデントの発生を起点にして以下のステップに分類することで、問題管理のポイントが見えるようになります。
Step 1: 問題の識別 | 根本原因を突き止めて解決したい事象を洗い出します。たとえば、ヘルプデスクレポート機能でインシデントの傾向を分析し、頻発しているインシデントや将来的に業務に重要な影響を与えそうな現象を解決すべき問題として取り上げます。 |
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Step 2: 問題の記録 | 根本原因を解明すべき問題が洗い出されたら、問題の情報を記録します。問題入力用のWebフォームから記録、または、既存インシデントからインシデントの情報を引き継いで問題を新規作成できます。 |
Step 3: 問題の分類 | 問題の内容を基に、問題を分類します。インシデントのカテゴリー・緊急度・業務への影響・関連するITサービス/IT資産など、組織のニーズにあわせて任意の分類をするとよいでしょう。 |
Step 4: 優先度の設定 | 問題の分類情報を基に問題の優先度付けを行います。インシデント同様、問題の解決期日も設定できます。 |
Step 5: 問題の調査と診断 | 問題の分類が完了したら、問題の根本原因究明のための調査を開始します。 問題の症状、 問題の業務への影響、 問題の根本原因を特定・記録し、問題の原因究明と解決にかかる作業をタスクとして問題に登録します。 |
Step 6: ソリューションの記録 | 問題の調査と診断の次は一時的な回避策と恒久的な解決策を特定します。 |
Step 7: 問題のクローズ | 問題のソリューションが実装されたら問題をクローズします。 |
詳細、参考画像につきましては問題管理機能ページもご参照ください。
問題管理ツールの選び方
理想的な問題管理プロセスを実現できるツールとしては
①上記の問題管理の7つのステップを網羅できる機能を備えている
②「インシデント管理」との一元管理が可能
③「変更管理」との一元管理が可能
インシデントと問題を分けて考え、かつ両方管理するという理想を掲げるのは簡単ですが、実践するのは簡単ではありせん。
そのため多くの管理者がツールを利用したり、場合によってはExcelを利用したりすることで、問題とインシデントのリストを管理しているケースもあるようです。
問題管理の目的は、インシデントに対する解決手段の提供と問題の起因になる課題の解決になりますが、インシデント発生時にはこの両側面にたいして同時に作業が発生するかと思います。
またヘルプデスク業務の現場ではこれらを管理することを目的としたツールを利用しているとおもいます。また、そのツールがExcelの場合も少なくないでしょう。
Excelによる管理はヘルプデスク業務の作業者が複数にわたる場合やファイル共有にともなう問題もよく聞く話で、専用のツールの導入による効率化が求められている現場も少なくないと思われます。
※脱Excelの必要性、メリットなどはこちらをクリック!
問題管理ツールのメリットとデメリット
ITサービスを担当するサービスデスクでは、サービス品質を向上させたり、自社のサービス品質を向上するためにも、最適なITSMに沿ったワークフローを展開することが重要です。
準拠のワークフローを展開するためには、Excelや文書管理システムを使用したり、市販のサービスデスクツールを使用したりするなどの方法があります。それぞれのメリット・デメリットも見てみましょう。
管理方法 | メリット | デメリット | |
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Excel等の表計算ソフト |
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独自の文書管理システム |
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専用の有償ツール |
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専用の有償ツールは こちら
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