ITSMはどこに向かっているのか?
ITサポートは、ビジネスニーズ、労働文化、技術革新、変化し続けるIT環境などの要因によって、長い時間をかけて進化してきました。 ITヘルプデスクはIT運用の幅広い範囲を処理し、戦略的なビジネス目標に合わせたITサービスデスクへと変化しました。これらのITサービスデスクは、機能性と使いやすさを向上させるITSMツールによってサポートされています。もちろん、ここで終わりではありません。今後数年間で、ITSMの進化を促進させるいくつかのホットなトレンドを挙げてみました。
消費者体験に焦点をあてる
ITサポートの役割は、ITサービスが従業員の仕事を確実に支援できることです。ITに従事する人々の期待が高まり、ITの焦点はより良い消費者体験を提供する方向にシフトしています。この消費者体験にはマルチチャネル通信プロセスの有効化、チャットボットの導入、サービスカタログによる魅力的なITサービス体験の提供、ナレッジベースへのアクセスに関するセルフヘルプの促進などが含まれます。すぐれた消費者体験を提供することで、IT部門の評判が向上し、エンドユーザーとIT技術担当者の両方にとって不満のない働く環境をつくることができます。
自動化の推進
自動化を推進する理由の1つは、一部のセキュリティ標準がITSMプラクティスに基づいているためです。 多くの組織はITSMのプロセスを自動化することで、コンプライアンス監査を通過できることを十分に認識しています。自動化を他のワークフローやプロセスにも拡張することで不整合を減らし、ヘルプデスクの運用効率を高めることができます。ヘルプデスクのタスクを自動化することで、エンドユーザーは課題解決までの時間を短縮できます。
BYODカルチャーへの対処
組織が「自分のデバイスを持ち込むこと(BYOD)」や「独自のテクノロジーを導入すること(BYOT)」、または「独自のデバイス(CYOD)」のいずれのカルチャーを選択しても、これらの新進気鋭のITポリシーには常にシャドーIT(組織が把握していない従業員が業務に利用しているデバイスやクラウドサービス)の脅威を伴います。BYODでは資産管理、ソフトウェアライセンスのコンプライアンス、ITサポートを幅広いデバイスへ展開するという点で課題が生じます。このカルチャーに対処する適切な戦略がなければ、企業はITコストの増加とビジネスの混乱に直面する恐れがあります。BYODはIT環境の複雑さを増し、従業員の個人用デバイスは見つけにくいため、問題発生時の影響の分析を困難にしてしまいます。デバイスのリモートワイプ、プロファイルの展開、デバイスのWi-FiおよびVPNのアクセス制限、デバイスの電子メール設定の調整などのモバイルデバイス管理機能は、技術担当者がBYODカルチャーに対処するのに役立ちます。
"ソーシャルIT”アプローチの台頭
今どきのIT消費者は、電子メールのような従来の方法ではなく、ソーシャルメディアを通じてインシデントやリクエストを送ってくるようになっています。 この傾向に基づいてITヘルプデスクの技術担当者は、ITSMの縁の下の力持ちとしてソーシャルメディアの力を活用できます。ヘルプデスクの技術担当者が処理案件を受け取って応答したり、エンドユーザーと会話したり、問題を解決したりできるように、ソーシャルメディア・プラットフォームをヘルプデスクツールに統合することを検討する必要があります。
重要な意思決定をサポートするビジネス・インテリジェンス(BI)の需要
ITは組織全体に複数のタッチポイントを持ち、膨大な量のデータにアクセスできるため、ビジネスに不可欠な洞察を生み出すことができます。これらの洞察によってビジネスとITの問題を早い段階で明らかにし、ITサービス提供の品質を向上させながら、コストとリスクを削減できます。ヘルプデスクソフトウェアは、ヘルプデスクデータから貴重な情報を蓄積するために、ビジネス・インテリジェンス(BI)ソリューションとの統合を始めています。例えば、基本的なSLAコンプライアンス・レベルチャートは、SLAコンプライアンスレベルが急上昇または急落した場合にのみ表示されますが、SLAレベルが変化する理由を理解するのに必ずしも役立つとは限りません。ビジネス・インテリジェンス(BI)ツールを使用して詳細な分析を行うと、SLAコンプライアンスレベルに悪影響を及ぼしている要因と、それらを修正する方法を特定できます。
ESM(エンタープライズサービスマネジメント)に重点を置く
ESMは、ITSMの後継となることが期待されています。ESMとはITサービス提供の原則、プロセス、および成功事例(ベストプラクティス)を、ビジネスのあらゆる機能の領域に適用することです。ESMは様々な部門を効果的に統合し、部門間の運用の迅速な流れを促進します。多くのベンダーがすでにツールのESM機能について話題にし始めていますが、今のところは完全なESMソリューションは、業界が向かう先のビジョンにすぎません。
人工知能(AI)などの最新技術の採用
機械学習、自然言語処理、コンピュータービジョン、ロボット工学などのAI技術によって、人々の生活や働き方の定義が見直されています。そしてAIは最終的にサービスデスクに参入するでしょう。AIがITサービスデスクに与える最初の最も顕著な影響は、チャットボットと仮想サービスアシスタントであり、いつかITサービスデスクの最初のタッチポイントとして人間に取って代わる可能性があります。一方でAIの一種である機械学習は、プログラミングなしでも学習できるツールをITサービスデスクに提供します。機械学習によってITヘルプデスクは次のことができるようになります。
- 問題や課題を積極的に予測
- 機能とナレッジ管理の向上
- より簡単に問題を分類し解決へ導く
ITSMプロセスを実装する際には、将来のITSMソリューションがトレンドに対応し、より優れたITサービスを提供するための有能で将来性のある方法を示す能力があるかどうかを、確かめる必要があります。
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本記事は、原文(英語)を抄訳したものです。