ゼロトラストを実現する特権アクセス管理

特権アクセス管理

ゼロトラストを実現する特権アクセス管理

ゼロトラスト特権アクセス管理(PAM)は、特権アカウントおよびリソースの保護を目的とし、ゼロトラストの基本原則を取り入れたセキュリティフレームワークです。

PAM360

について3分でわかる

ゼロトラストとは?

ゼロトラストとは、企業のリソースにアクセスを試みる全ユーザーを常時認証・認可し、不正アクセスの防止を図るセキュリティフレームワークです。ゼロトラストでは、ユーザーやデバイスが企業ネットワークに接続している場合でも、決して信頼しません。この「決して信頼せず、常に確認せよ」というアプローチにより、疑わしい活動や不正な操作をリアルタイムで特定・防止できます。この制御は、従来の境界型防御では実現できないものでした。

従来のセキュリティ対策では、ユーザーやデバイスがネットワーク境界内のITリソースに制限なくアクセスできます。したがって、攻撃者が企業ネットワークに一度侵入できれば、ネットワーク内で攻撃範囲を拡げ、重要なリソースやデータへの不正アクセスを行えてしまいます。つまり、甚大なリスクにつながります。このような理由で、現代の企業ではゼロトラストが重要視されています。

ゼロトラストは、企業全体のセキュリティ強化を目指した総合的なアプローチです。ゼロトラストは、特定のソリューションに依存していません。また、企業のITインフラ全体に展開する必要があります。ゼロトラストセキュリティを組織全体に導入することで、重要なリソースのリスク評価や、リスクに基づいたセキュリティ管理が可能になります。この体制により、特定の重要なシステムやアカウントを厳格に制限し、内部・外部の脅威から保護するため、データ侵害のリスクを最小限に低減できます。このような背景を踏まえると、ゼロトラストモデルを効果的に実装するには、ゼロトラストの原則を具現化するソリューションが必要であると言えます。

ゼロトラストにおけるPAMの役割

PAMソリューションは、組織のセキュリティにおいて、クリティカルなITインフラへのアクセスを制御するという重要な役割を果たします。ゼロトラストPAMソリューションなしでは、完全なゼロトラスト戦略とは言えません。さらに、アクセス管理の要件が常に発展している現代のハイブリットワーク環境を踏まえると、ゼロトラストの原則はPAMソリューションにとって一層欠かせない要素になっています。ゼロトラストの原則に基づく対策としては、最小特権アクセス、継続的な監視、リスク分析、アクセス監査、セッション管理が挙げられます。この原則を活用し、特権アカウントやデバイスに対するアクセスを精査することで、ゼロトラストに基づく特権アクセス管理を組織全体で実現できます。

ゼロトラストの特権アクセス管理とは?

ゼロトラストの特権アクセス管理とは、ゼロトラストの基本原則に従って特権アクセスを制限するセキュリティモデルです。このアプローチでは、すべての特権ユーザーとデバイスを潜在的な脅威と見なし、継続的な認証と認可を通じて精査を行います。ユーザーの役割や要件のみで特権アクセスの安全性を検証するのではなく、ユーザーの操作やアクセス対象のリソースに基づいてリスク評価をリアルタイムで行います。このセキュリティ対策により、積極的にリスクを管理する、予防的な特権アクセス管理を組織で実現できます。

ゼロトラスト特権が導入されたPAMソリューションを活用することで、状況や条件に応じた動的なセキュリティ制御を実装できます。この制御により、最小特権アクセスの適用、潜在的な脅威や不正な操作のリアルタイム検知、特権悪用の防止、アクセスの無効化などの対応策の即時または自動実行などの対策が実施されます。

ゼロトラストと最小特権アクセスの違い

ゼロトラストと最小特権の原則(PoLP)は、どちらもセキュリティ強化に貢献しますが、それぞれに異なる特徴があります。最小特権の原則では、業務で必要な最小限のアクセス権限がユーザーに付与されます。そのため、アカウントが侵害された場合でも、悪用の被害は最小限に抑えられます。

一方、ゼロトラストは、単なるアクセス権限の検証にとどまらない総合的なアプローチです。組織のITインフラやデータのさまざまな側面を考慮に入れ、すべてのセキュリティ層において認証と認可を常時行います。このように、最小特権アクセスは堅牢なゼロトラストモデルの基盤ではありますが、ゼロトラストという包括的な概念の一部分に過ぎません。

ゼロトラストに対応したPAMを導入するメリット

PAM戦略にゼロトラストの原則を導入することで、以下のようなセキュリティ強化の効果を期待できます。

  • 組織全体に最小特権の原則(PoLP)を適用できる
  • ユーザーやリソースのリスク評価を積極的に行い、脅威を特定できる
  • 状況や条件に応じた対応策の実行によってリスクを軽減できる
  • データ侵害の脅威を最小限に抑えられる
  • 組織全体の生産性とセキュリティを改善できる

ゼロトラストPAMのアプローチ

最適なゼロトラストPAMの戦略は、組織の規模や要件に応じて異なります。とはいえ、PAMソリューションを活用してゼロトラストPAMを実装すれば、少なくとも以下のような対策を確実に実現できます。

01. 特権アクセスの監査

すべてのユーザーのアクセス権限を照合し、各ユーザーのアクセス要件に適しているかを確認します。過剰に付与されているアクセス権限を特定し、適切な管理状態に設定し直します。

02. クリティカルなリソースの特定

セキュリティ強化が求められるミッションクリティカルなITリソースを特定し、リスト化します。割り当てられている永続特権(常時有効な特権)をすべて無効化します。

03. アクセス制御の実装

特権アカウントへの一時的なアクセス権限を、申請に応じて付与します。承認ワークフローを通じて、特権アクセスの自動的な割り当ておよび解除を行うことで、最小特権アクセスを実現します。

04. ユーザーやデバイスのリスク評価

ユーザーのアクティビティやデバイスの安全性に基づいて、ユーザーおよびデバイスに結びついたリスクを特定します。

05. 適応型の多要素認証(MFA)の導入

異常な行動を検知した場合に追加で認証を行う適応型多要素認証によって、ユーザーを常時認証し、リスクを監視します。

06. ポリシーベースの制御

アクセスポリシーを作成して、重要なリソースを保護します。ポリシーによって制限を設けることで、許可されていないアクセスや不正な操作の防止、危険なアクティビティが発生した際のアラート生成などを実行できます。

07. 属性ベースの制御

属性ベースのアクセス制御(ABAC)を導入し、きめ細かいアクセス管理を実現します。

ゼロトラストPAMの課題

ゼロトラストPAMは推奨される最適なアプローチである一方で、次のような課題も抱えています。

01. 認知度の低さ

ゼロトラストの概念は以前から存在していますが、認知度の低さが原因で、普及率は依然として低迷しています。スムーズかつ効果的なゼロトラストへの移行を推進するには、大規模な啓蒙活動が必要です。

02. 変化に対する抵抗感

境界型防御から境界に依存しないセキュリティモデルに移行するには、根本的な発想の転換が必要であり、この転換の難しさこそが障害となる場合があります。事業の中断を招く可能性があるという懸念や、新しい業務プロセスに対する抵抗感により、仕組みの刷新を図る取り組みに多くの人が反感を示すかもしれません。

03. 導入が複雑

適切なツールや専門知識がなければ、ゼロトラストPAM戦略の導入は複雑でコストがかさみます。そのため、最適なゼロトラストPAMソリューションを見つけることが重要です。

従来のPAMとゼロトラストPAM

従来のPAMソリューションでは、対象のユーザーに安全にアクセス権限を付与できますが、「付与するか、しないか」のみが制御可能です。分散していたアクセスポリシーを統合して管理効率を高められる一方、常時有効な特権が付与されるため、特権の悪用や予期せぬ誤用のリスクが生じます。

対して、ゼロトラストPAMソリューションでは、ジャストインタイム(JIT)アクセス制御によって、必要最小限のアクセスのみを付与できます。機密性の高い認証情報へのアクセス権限は必要に応じた一時的な付与にとどまり、使用後には自動的に無効化されます。さらに、特権セッション監視などの機能を活用することで、悪意のあるユーザーのセッションを検知した際に、管理者がセッションを遮断できます。

ゼロトラストPAMソリューションは、ユーザーのアクセス管理を強化するだけではありません。ユーザーアクティビティやデバイスに対するリスク監視や、適応型の多要素認証を用いたユーザー認証も常時実施します。さらに、セッションの強制終了やアクセスの無効化などの対応を自動実行できます。このように、基本的なアクセス制御を超えたきめ細かい管理により、ゼロトラストPAMソリューションは脅威の軽減を実現します。従来のPAMとゼロトラストPAMのどちらか検討している場合は、ゼロトラストPAMソリューションの導入をお勧めします。

最適なゼロトラストPAMソリューションの選択

ニーズに合った最適なゼロトラストPAMソリューションを見つけられれば、技術的な課題の多くを解決できます。ゼロトラストに基づくPAMソリューションへの移行を検討している場合は、以下の機能を提供するソリューションをお勧めします。

申請・承認ワークフロー

申請・承認ワークフローは、優れたPAMソリューションに必ず備わっている重要な機能であり、ゼロトラストの原則を導入するための第一歩です。このワークフローは、特権アカウントの認証情報に対するアクセスを、要求に基づいて制限付きで付与するために不可欠な仕組みです。このような制限のもとでは、ユーザーが関係者にアクセスを申請する際に、アクセスの妥当性を明示する必要があります。アクセスの理由が妥当であると判断された場合、対象リソースへの一時的なアクセスが許可されます。

特権昇格および委任管理(PEDM)

ユーザーが重要な業務を行うために、特権アカウントの認証情報や特権ユーザーグループへの一時的なアクセスを必要とする場合があります。適切な手法で管理していなければ、ユーザーが強力な権限を保持し続けることになります。この課題を解決するには、特権昇格および委任管理(PEDM)機能を提供するPAMソリューションが有効です。このようなソリューションは、特権の昇格および降格を自動化することで、事業運営に支障をきたすことなく、特権アクセスの管理プロセスを効率化します。ジャストインタイムの特権昇格などの機能により、ユーザーが認証情報を直接参照することなく、一時的な特権昇格が可能になります。この制御により、ゼロトラストPAMアプローチに不可欠である最小特権の原則(PoLP)を組織全体で実現できます。

コマンドとアプリケーションの制御

理想的なゼロトラストPAMソリューションに求められる機能として、特権昇格および委任管理(PEDM)以外にも、コマンドおよびアプリケーションの制御機能があります。コマンド制御により、ユーザーに権限がない場合は、機密性の高いコマンドの実行を制限します。許可リストまたはブロックリストでコマンドを制御することで、システムやITインフラに重大な影響を与える可能性がある、リスクの高い操作を防止できます。さらに、アプリケーション制御により、必要な操作のみを許可する最小限のアクセス付与が可能になります。

特権セッション管理

特権セッション管理(セッションの監視や記録などを行う機能)は、悪意のある脅威を特定する上で欠かせない機能です。この機能により、セキュリティ管理者はセッションをリアルタイムで追跡し、危険と判断した場合は遠隔から遮断できます。

ユーザーおよびエンティティの行動分析(UEBA)

行動分析および継続監視は、ゼロトラストPAMソリューションの主要な機能です。この機能は、異常なアクティビティの特定や、そのアクティビティを行っているユーザーやデバイスの隔離を実現します。ユーザーおよびエンティティの行動分析(UEBA)により、許容できる標準的な行動パターンを定義できます。この定義されたベースラインを用いてユーザーやデバイスのリスク分析を行うことで、脅威が顕在化する前に、異常な行動の予防的な特定・処置が可能になります。

ポリシーベースのアクセス制御

リスクベースの特権アクセス管理が十分な効果を発揮するには、異常が発生した際に自動的に対応策を実行するカスタムポリシーが必要です。PAMソリューションが提供するポリシーベースのアクセス制御機能は、ユーザーやアカウント、デバイスのリスク要因を動的に評価し、条件や状況に応じた対応アクションを起動します。この仕組みにより、手動対応を不要にしつつ、組織全体のセキュリティ強化を実現できます。

上記の機能に加えて、リアルタイム監査、コンテキストに応じたアラート、多要素認証、Syslog連携なども、ゼロトラストの特権アクセス管理を補強するセキュリティ機能です。

ゼロトラストPAMソリューションへの移行

ゼロトラストに基づく特権アクセス管理を既存のソリューションで実現できない場合は、PAM360などのゼロトラストPAMソリューションへの移行をご検討ください。PAM360は、デジタル技術を駆使して業務を行う企業に向けて設計された、ManageEngineのPAMソリューションです。完全なゼロトラストを実現するためのすべての主要な機能を包括的にカバーしています。

ゼロトラストに対応した特権アクセス管理に取り組む際は、PAM360の概要をご確認ください。また、詳しく知りたい方はお気軽にオンライン相談をご利用ください。

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