デジタル技術を取り巻く環境は、この数十年間でコミュニケーションとコラボレーションの在り方を劇的に変化させました。この変化は世界中の高等教育のエコシステムにおいても目覚しい進化を引き起こしています。黒板からインタラクティブディスプレイのあるスマート教室へ。世界中の大学がデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、教育コンテンツの提供方法を再構築しています。
大規模なオンライン講座、VRラボ、リモート学習ツール、拡張現実(AR)、IoT、BYOD(スマートフォンなど個人所有デバイスの持ち込み)ポリシーなど教育技術の革新によって、キャンパス内外でより効果的な学習環境が作り出されています。
このテクノロジーを活かしたエコシステムによって、学生たちはより快適な学習環境を、教員は生産性の高い職場を、管理者は業務のしやすさを手に入れることができました。
この多次元的な変革の先頭に立つのは、IT資産の管理、学生や教職員へのサービス提供、インシデントの解決、変更の実施など複数のタスクをこなす大学内のITチームです。
本記事では、日々変化する技術インフラの管理において、大学などの教育機関が直面している課題や、その解決策について解説していきます。はじめに現在の教育機関が抱える具体的な問題点は次のとおりです。
大学におけるIT資産の増加
ノートPCやタブレット、スマートフォンなどデジタル機器の普及で、IT部門はキャンパス内に散在する多くのIT資産を管理する必要があります。その結果、ITAM(IT資産管理)に盲点が生じ、最適な資産の有効活用ができなくなっています。
様々な企業が、IT維持コストの削減と生産性向上のためBYODポリシーを採用していますが、高等教育機関も例外ではありません。大学や教育機関はBYODポリシーを活用し、地理的な障壁やIT維持コストに影響されることなく、スマートな学習と質の高い教育を学生に提供することができます。IT部門は適切なBYODポリシーを展開し学生に伝えるだけでなく、効果的な エンドポイント管理によって情報セキュリティを確保し、リスクを軽減する責任があります。
キャンパスごとに孤立するヘルプデスク
多くの高等教育機関では、複数のキャンパスごとに異なるヘルプデスクが運営されており、本部のIT部門と統合されていません。このようなキャンパスでは様々なコミュニケーションツールやアクセス提供手順が採用されており、プロセスの枠組みに矛盾を生じさせ、部門間でデータを断片化させてしまいます。
多様で大規模な教育関係者
米国を例にとると、毎年約390万人の学生が全米の高等教育機関を卒業しています(全米教育統計センター調べ)。さらに教員、保護者、卒業生が加わることで、ヘルプデスクが処理するチケット量も比例して増えていきます。
利用者が多様化すると、エンドユーザーのグループごとに要件も異なります。Wi-Fiへのアクセスのみを必要とする見学者や業者もいれば、サービスやITサポートへの長期的なアクセスを必要とする学生もいます。ヘルプデスクは利用者をセグメント化し、独自の要件に効率的に対応しなければなりません。
高まるサービス期待値
現在のエンドユーザーは、迅速な対応と個別のITサポートを期待しています。簡単な要件であれば、学生や卒業生はセルフサービスに慣れていることもあり、時間に関係なくITサービスを利用しようとします。
分離されたサービス管理
大学では、多様な業務を単一のデジタルプラットフォームに統一することに、あまり重点を置いていないことが多いです。
最適なITSMのワークフローの恩恵を受けている人がいる一方で、試験や一般事務、宿泊やケータリングサービス、人事、施設管理、陸上競技など、高等教育の多くの分野は依然として手作業で時間のかかる旧式のオフラインサービス管理に依存しています。
このような手つかずの分野にITSMのベストプラクティスを適用することで、エンタープライズサービスの提供を変革し、従業員、教職員、学生に力を与え、業務効率を向上させることが可能になります。
リモート学習への急激な移行
新型コロナウイルスによるパンデミックは、高等教育を含む社会のあらゆる面を変えました。かつてはビジネスやリモートワークのみに利用されていたビデオ会議、プロジェクト管理、メッセージアプリなどのテクノロジーを、今では大学が教育コンテンツを提供するために利用しています。これによってITチームはインシデントの迅速な解決、VPNへのアクセスの準備、ITインフラのリモート管理など、切れ間のない学習を確保する任務を負うこととなり、負担は増しています。
教育機関のDXを支えるITサービスマネジメントツール
「ServiceDesk Plus」
ご紹介したこれらの課題に対応できなければ、大学におけるITサービスの支障が増加し、ITヘルプデスクはその消火活動に追われ、生産性を低下させる非効率なエンタープライズ・ワークフローに陥ってしまいます。
大学やその他の高等教育機関では、ITSMのベストプラクティス に沿った確かなサービスデスクソリューションと、独自の要件に合わせたカスタマイズソリューションが求められています。
しかし、ほとんどの教育機関は柔軟性に欠けたITSMツールへ投資したり、無駄に大きな旧式のソリューションを実行しています。これらは大学のヘルプデスクサービスの敏捷性を妨げ、保守費用を増やす恐れがあります。
スマートなITSMを実現するツール ServiceDesk Plus
インシデントの解決、遠隔地のIT資産の監視、試験や施設の管理まで、ServiceDesk Plusはあらゆる面でエンタープライズサービスマネジメント(ESM)をカバーします。
教育機関のサービスマネジメント向上のために、 ServiceDesk Plusで実現できること
学生、教職員、卒業生が大学のサービスやお知らせ、情報にアクセスできる単一のタッチポイント(学生と大学の情報接点)を提供します。
- エンタープライズサービスマネジメント(ESM)によって、入試、試験、宿泊、体育など大学独自のサービスデスクを構築し、ITSMの手法を大学運営に応用。
- 大学全体で統一された セルフサービスポータルを構築し、エンドユーザーが様々な部署にアクセスし、サービス要求や苦情を登録。
- 学科独自の総合的な サービスカタログを構築・発行し、学内のサービス内容を発信。
- ユーザー管理、認証・許可の定義、新規インスタンスの立ち上げ、ESMポータルのカスタマイズをESMディレクトリ内で実行。
- 視覚的なワークフロービルダーで、部門ごとのカスタムワークフローや ライフサイクルを作成し、独自のSOP(標準操作手順書)を遵守。
学生のオンボーディングから研究データベースへのアクセスまで。ServiceDesk Plusの セルフサービスポータル機能なら、ITヘルプデスクのチケット処理を効率化することができ、IT部門は本来の戦略的なIT課題に時間を割くことができます。
- セルフサービスポータルからアクセスできるナレッジベースを構築。キャンパスガイド、一般的なIT問題の解決策、自己解決を促進する記事などを掲載。
- ZohoのAIバーチャルアシスタントZiaが、エンドユーザーの最初の窓口に。これによって技術者は瑣末な業務から解放され、エンドユーザーはチケット作成のヘルプを受けながら解決策を早く見つけることが可能に。※Ziaは現在日本語には対応しておりません。
ルーティン業務や反復作業を自動化することで、ITヘルプデスクを強化できます。カスタムワークフローを作成し、サービス要求に対応し、変更管理・リリース管理をシームレスに展開します。
- チケットの割り当て、項目の更新、通知のルールをカスタマイズし自動化。
- 視覚的なワークフローキャンバスを用いて、独自のワークフローを設計ベースから実際のワークフローへと変換。
- サービスを予定通り提供できるようSLAを設定。自動化されたマルチレベルのエスカレーションによって、違反を先回りして抑え込みます。
研究室のワークステーション、教室のプロジェクター、リモートキャンパスのサーバーなどすべてのIT資産のインベントリを構築し、追跡します。
- Endpoint Central(旧Endpoint Central)との統合により、強化されたスキャン技術でIT資産を検出し、ソフトウェアパッケージをリモート展開。
- ソフトウェアのコンプライアンス状況を把握することで、資産活用を最適化し、ライセンス監査に備えることが可能。
- ハッカソンやカンファレンスに参加する学生や教員に資産を貸し出し、返却後は再割り当てを行う。
ServiceDesk Plusは、Active Directory(AD)管理ツールや統合エンドポイント管理ツールといった、ManageEngineの一連のIT運用管理アプリケーションと連携できます。
- 監視アラート、パッチ適用、モバイルデバイスの管理などをヘルプデスク端末から実行。
- 付属のレポート機能でサービスデスクのデータをマイニングでき、データに基づいた意思決定が可能。定期的にカスタムレポートを作成し、関係者にメールで自動送信。
教育機関のDXを支えるITサービスマネジメントツール 「ServiceDesk Plus」