SAP Server監視アドオン

SAP Server監視を作成するには

SAP Server監視の要件:SAP Javaコネクター(JCo)がApplications Managerのクラス パスに必要です。詳細は、製品自体の要件ページに記載があります。

Applications ManagerにSAP Server監視を作成するには、下記の手順に従います。

  1. 新規監視をクリックします。つづいて、SAP Serverをクリックしてください。
  2. ホスト名/IPアドレスを指定します。
  3. ネットワークのサブネット マスクを入力してください。
  4. ルート ストリングで接続チェック ボックスを選択し、SAP Serverへの接続に使うSAPルート ストリングを入力します(任意項目)。
  5. SAPログオン クライアントを入力してください。
  6. SAPシステム番号を入力してください。
  7. SAPログオン言語を入力してください(例:英語ならEN)。
  8. ポーリング間隔を入力してください(分)。
  9. Enterprise EditionのAdminサーバーから新規監視を追加するには、Managedサーバーを選択します。
  10. SAPのユーザー名パスワードを入力してください。
  11. コンボボックスから監視を関連付ける監視グループを選びます(任意項目)。監視は複数グループに関連付け可能です。
  12. 監視の追加をクリックします。SAP監視を追加すると、新しいSAPリソースの情報が表示されます。

SAP監視作成には、SAPユーザー プロファイルに、次の認可オブジェクトが必要です:S_RFC、S_XMI_LOG、 S_XMI_PROD(SAP監視追加の最小要件)。

SAP監視では、SAP環境の可用性とパフォーマンスを、中央Webコンソールで監視できます。SAP監視は、SAP CCMS (Computer Center Management System) を利用し、有用なシステム情報の取得や、障害管理・レポーティング機能を実現しています。

可用性タブでは、過去24時間か30日の可用性履歴がわかります。パフォーマンス タブでは、過去24時間か30日のステータスとイベントがわかります。リスト ビューでは、一括管理設定が可能です。

監視対象のパラメーター

SAPでは次のパラメーターを監視します。

パラメーター 説明
監視情報
ステータス 監視のステータスを示します。依存性も考慮します。
タイプ 監視のタイプです。
ホスト名 SAPを実行しているホストを示します。
ホストOS ホストのOSです。
最新ポーリング時刻 最新のポーリング実行時刻を表します。
次回ポーリング時刻 次回のポーリングをスケジュールした時刻を表します。
可用性 SAP監視について、現在のステータスを示します(アップ、ダウン)。
バックグラウンド プロセス
バックグラウンド利用率 利用中のバックグラウンド プロセス キャパシティの割合です(%)。
システム ワイドのキュー長 実行準備が整っているジョブのうち、認可の手順が始まっていて、バックグラウンド ワーク プロセスの空きがないターゲット サーバーが指定されていないものの数を指します。バックグラウンド ワーク プロセスのあるアプリケーション サーバーすべてを平均して、算出します。
システム ワイドの空きプロセス 空きバックグラウンド ワーク プロセスの数です。
サーバー固有キュー長 あるアプリケーション サーバーに明示的に実行を割り振られたジョブのうち、バックグラウンド ワーク プロセスに空きが見つからないものの数を指します。
バックグラウンド ワーク プロセス数 アプリケーション サーバーにおける、バックグラウンド ワーク プロセスの数です。
エラー数 監視セグメント作成以来、バックグラウンド ワーク プロセスで発生したエラーの数を表します(すなわち、アプリケーション サーバーの起動以来)。
エラー頻度 バックグラウンド ワーク プロセスおける、エラー発生速度を指します(数/分)。
エラーによる停止数 エラー発生後に停止したバックグラウンド ワーク プロセスの数を表します。
バッファー
ヒット率 データベース クエリがバッファーにヒットし、プログラム、リポジトリ、テーブル、GUIなど各種バッファー タイプを探しにデータベース参照を行う必要がなかった比率を指します(%)。
利用済みディレクトリ プログラム、リポジトリ、テーブル、GUIなど各種バッファー タイプによる、ディレクトリの利用率(エントリ数)を指します(%)。
利用済みスペース プログラム、リポジトリ、テーブル、GUIなど各種バッファー タイプによる、バッファー記憶域の利用率を指します(%)。
スワップ プログラム、リポジトリ、テーブル、GUIなど各種バッファー タイプによる、バッファー フルが原因の分ごとのスワップ発生回数を指します。
ダイアログ
フロント エンド応答時間 ユーザーがフロント エンドでの要求処理を待機する必要があった、平均時間を表します。
データベース要求時間 論理データベース要求の処理にかかる平均時間を指します。
ロードおよび生成時間 CUAオブジェクトのロード・生成の平均時間を指します(集中ユーザー管理:Central User Administration)。
応答時間 ダイアログ サービスの平均応答時間を示します。
ネットワーク時間 ネットワークで、フロント エンドからアプリケーションへの最初のデータ転送の間と、アプリケーション サーバーからフロント エンドへの最後のデータ転送の間でかかる時間を表します。
ログイン ユーザー ログオン中のユーザーの数です。
キュー時間 ディスパッチャー待期での、平均時間待機時間を指します。
エンキュー
要求エンキュー ロック要求件数を表します。
要求エンキュー許否 ロック要求が拒否された件数を表します。
要求エンキュー エラー ロック要求中に発生したエラーの数を指します。
要求デキュー 要求解放の件数を表します。
要求デキュー エラー ロック開放中に発生したエラーの数を指します。
要求全デキュー(DequeueAll Requests) 1つのLUWにおける、全ロック開放の件数を指します。たとえば、あるLUWの終了時に発生します(作業の論理単位:Logical Unit of Work)。
要求クリーン アップ あるアプリケーション サーバーにおける、全ロック開放の件数を表します。たとえば、サーバーの起動・シャットダウン時に発生します。
要求バックアップ ロックを更新プロセスに伝える、更新呼び出しの数を示します。更新プロセスは呼び出し側のロック オーナーIDを受け取り、呼び出し側は新規ロック オーナーのIDを受信します。
要求レポーティング ロック テーブル読み込み操作の数を表します。
オーナー名実利用率 ロック テーブルにある現在あるロック オーナーの数を指します。
顆粒引数の実利用率(Granule Arguments) ロック テーブルに現在ある、ロック引数の数を表します。
顆粒エントリの実利用率(Granule Entries) ロック テーブルに現在ある、元素的ロック(elementary lock)の数を表します。
実更新キュー(Update Queue Actual) ロックを持つ、オープンな更新要求の、現在の数を指します。
分ごと最新ロック時間[Recent Lock Time (per minute)] 重大パスにあるロック テーブルがロック操作に費やした時間を指します(分ごと秒数)。
分ごと最新ロック待機時間[Recent Lock Wait Time (per minute)] ロック テーブルが重大パスに入るまでの並列プロセスの待機時間を指します(分ごと秒数)。
分ごと最新サーバー時間[Recent Server Time (per minute)] エンキュー サーバーでの総消費時間を指します(分ごと秒数)。
エンキュー頻度 他のインスタンスからセントラル インスタンスにくるエンキュー操作(論理データロック)の数を表します(分ごと)。
OS
CPU利用率 ホスト システムでの、平均CPU利用率を指します。
ディスク利用率 ホスト システムでの、平均ディスク利用率を指します。
拡張メモリ 拡張メモリの利用率を表します(%)。
プライベート メモリ プライベート メモリの利用率を表します(%)。
ロール領域利用率 ロール領域の利用率を示します(%)。
ページイン ページイン発生ペースを示します(数/秒)。ページインは、メイン メモリに見つからないデータ ページに、プロセスがアクセスする際に発生します。
ページアウト ページアウト発生ペースを示します(数/秒)。ページアウトは、他のプロセスが必要とするページの空間を確保するため、メイン メモリ外にページを保存するときに発生します。
システム ログ頻度 アプリケーション サーバーのシステム ログに、メッセージが現れる頻度を指します(数/分)。
スプール システム詳細
スプール利用率 スプール ワーク プロセス利用率を示します(%)。
スプール ワーク プロセス数 スプール ワーク プロセスの数です。
スプール ワーク プロセス エラー スプール ワーク プロセスでのエラー数です。
停止済みスプール ワーク プロセス エラー発生で停止したスプール ワーク プロセスの数です。
ディスパッチャー キュー利用率 ディスパッチャー キューの領域利用率です(%)。
要求キュー利用率 スプール要求キューの領域利用率です(%)。
サービス キューでの権限(ServiceQueuePriv) スプール要求キューが時系列処理に要する領域の利用率を示します(%)。
サービス キュー ページ スプール要求キューにあるページの数を表します。
利用済み装置キャッシュ 装置キャッシュ全体の領域利用率です(%)。
固定装置キャッシュ 固定装置キャッシュの領域利用率です(%)。
利用済みホスト スプール リスト ホスト スプール要求リストの領域利用率です(%)。
アラート SAP CCMS監視のシステム エラー ツリーノードの下にある、アラートすべてを表示します(RZ20)。
アラートを 完了ステータスにセットすると、アラート監視とアラート ブラウザーに表示されていたアクティブ アラートが削除されます。
バックグラウンド ジョブ
ジョブ名 監視しているバックグラウンド ジョブの名前です。
現在のステータス バックグラウンド ジョブの現在のステータスです。ステータスは次のものがあります。
  • 解放済みジョブなし(No Released Job Exists)
  • スケジュール済み(Scheduled)
  • 解放済み(Released)
  • アクティブ(Active)
最新実行ステータス 最新実行中のバックグラウンド ジョブのステータスです。
ステータスには次のものがあります。
  • 正常終了(Finished)
  • 中止(Terminated)
  • 初回実行時はステータスなし
最新実行日時 最新のバックグラウンド ジョブ実行の日時です。
実行時間(秒) 最新のバックグラウンド ジョブの実行時間を表します(秒)。開始時刻と終了時刻の差です。
遅延(秒) 最新のバックグラウンド ジョブ実行の遅延を表します(秒)。スケジュール上の開始時刻と、実際の開始時刻の差です。
経過時間 バックグラウンド ジョブの最新実行以来の経過時間を示します(分)。

メモ:中止したバックグラウンド ジョブと履歴を確認するには、こちらのアイコンの説明アイコンをクリックします。

SAP RFC監視

RFC(リモート関数呼び出し:Remote Function Call)は、SAPシステム間通信に使う、SAP標準インターフェースです。RFCはリモート システムで実行する機能を呼び出します。Applications Managerでは、キューRFC(qRFC)とトランザクションRFC(tRFC)関連のメトリックを監視します。

  • QOUTスケジューラー(SMQS):QOUTスケジューラーはqRFC送信キューを処理し、qRFC呼び出しの送信を制御します。情報はQOUTスケジューラーの監視に利用できます。
  • QINスケジューラー(SMQR) :QINスケジューラーはqRFC受信キューを処理し、受信したqRFC呼び出しの処理を制御します。情報はQINスケジューラーの監視に利用できます。
  • QOUTデータ(SMQ1) :QOUTデータは個々のqRFC送信キューの監視に利用できます。
  • QINデータ(SMQ2):QOUTデータは個々のqRFC受信キューの監視に利用できます。
  • トランザクションRFC(SM58) :監視対象SAP Serverで実行される、あらゆるトランザクションRFCがこちらにリストアップされます。
パラメーター 説明
QOUTスケジューラー(SMQS)
クライアント ログオン クライアントを表します。
ステータス SMQS実行時点でのスケジューラーのステータスです。システム障害、通信エラー、非アクティブ、待機、接続待期、起動中、アクティブがあります(SYSFAIL、CPICERR、INACTIVE、WAITING、WAITCONN、STARTING、ACTIVE)。
時刻 最新更新時刻を指します。
グループ スケジューラーの所属先グループです。
ホスト スケジューラーを実行しているホストを指します。
QINスケジューラー(SMQR)
クライアント ログオン クライアントを表します。
ステータス スケジューラーのステータスです。次のものがあります。システム障害、通信エラー、非アクティブ、リソース不足、待機中、バッチ、アクティブ、起動中があります(SYSFAIL、CPICERR、INACTIVE、RESOURCE LACK、WAITING、BATCH、ACTIVE、STARTING)。
時刻 最新更新時刻を指します。
グループ スケジューラーの所属先グループを指します。
ホスト スケジューラーを実行しているホストです。
QOUTデータ(SMQ1)
クライアント ログオン クライアントを表します。
キュー名 キューの名前です。
宛先 キューがターゲットする宛先です。
ステータス キューの現在のステータスです。SYSFAIL、CPICERR、STOP、SYSLOAD、VBERROR、READY、RUNNING、NOSEND、NOSENDS、WAITING、WAITSTOP、WAITUPDA、RETRY、ARETRY、ANORETRY、MODIFY、EXECUTED、AFINISH、FINISHがあります。
メッセージ キュー実行中のメッセージを示します。
時刻 最新更新時刻を指します。
QINデータ(SMQ2)
クライアント ログオン クライアントを表します。
キュー名 キューの名前です。
ステータス キューの現在のステータスです。SYSFAIL、CPICERR、STOP、READY、RUNNING、WAITING、WAITSTOP、RETRY、ARETRY、ANORETRY、MODIFY、EXECUTED、NOEXEC、AFINISH、FINISH、SAVEDがあります。
メッセージ キュー実行中のメッセージを示します。
時刻 最新更新時刻を指します。
トランザクションRFC(SM58)
トランザクションID トランザクションの識別子です。
機能名 ランザクションで実行する機能の名前です。
宛先 機能実行のターゲットとする宛先です。
呼び出し元 トランザクションを呼び出したユーザーを指します。
ステータス トランザクションのステータスです。CPICERR、SYSFAIL、CONFAIL、RECORDED、VBERROR、SYSLOAD、RETRY、ARETRY、ANORETRY、EXECUTED、MAILED、READ、VBRECORD、SENDED、DEBUG、VXRECORDがあります。
メッセージ トランザクション実行中のメッセージです。
時刻 最新更新時刻を指します。
トランザクション コード トランザクション呼び出し元のコードを指します。

 

メモ

データ保持:トランザクションRFCでは、生データは2時間分のみを保存します。SAPシステム側で膨大なトランザクション データを利用できるため、Applications Managerでデータベースを拡張し、二重のデータ保存をする必要はありません。Applications Managerは2時間が経過したデータをデータベースから削除します。

データのアーカイブ:Applications Managerでは次の理由で、トランザクション データのアーカイブを行いません。
  • 生データは2時間経過で削除します。
  • 膨大なトランザクション データのアーカイブ作成は、拡張性の観点から限界があります。

トランザクションRFCにはアラート履歴は利用できますが、レポートはできません。